料理を作る側としては、常に最高の出来を目指したくなるものではないでしょうか。
せっかく食べるのなら美味しい方が良いですし、人に食べてもらう時は余計にその気持ちが強くなります。
料理の出来を左右する要素は様々ですが、着目したのが「熱」の問題。
そして熱を理解するために熱流体解析の考えが役に立つのではないか、というのがここでのテーマです。
視点を変えて料理を見てみることで美味しい料理ができるのなら、一考してみる価値はあるはずです。
温度で味は変わる
そもそも温度で味は変わるのかという疑問ですが、温度によって味は変化すると言えるでしょう。
分かりやすくするために、料理ではなく身近なコーヒーを例に挙げてみます。
熱々の状態で飲むコーヒーと、少し冷えてきたぬるめのコーヒーとを比較すると、味の違いを感じられるはずです。
熱い時にはあまり苦みを感じなかったにもかかわらず、冷めてくると苦みが出てきますので、それにより飲みにくくなったという経験を持つ人もいるでしょう。
これは熱によって味の成分が変化したのが理由。
酸味や塩味に関しては持続性がないため、温度の低下と共に味覚として感じにくくなります。
一方、苦みに関しては持続性が強く、酸味などが減っている分、時間の経ったコーヒーは苦く感じてしまうことがあるのです。
ちなみに甘味や旨味も持続性があります。
このように温度で変化が起こるのはコーヒーだけではありません。
料理にも同様のことが言え、食べるタイミングで味が変化しているように感じるのは、決して気のせいではないのです。
予想できるようになれば楽
温度で味が変化するというのならば、それを予想できるようになると、料理にもその考えを活用できるのではないでしょうか。
熱の逃げ具合を知ることで味の予想をつけやすくなりますので、その変化を逆算しながら料理をすることで、より美味しい状態で食べたり提供したりすることができます。
実際、プロの料理人は、お客が食べるタイミングを見計らって、茹で具合や焼き具合などを調整すると言いますので、あながち予想をして料理をする考えは間違いではないはずです。
しかしながら、プロの料理人ではない者が同じようにやろうと思っても簡単にはいかないでしょう。
ただ、熱流体解析によって、熱の逃げ具合を測定する場合は近いものができるかもしれません。
科学的な考えをプラスしてみることで数値として熱を把握することができ、そこから料理への影響を導き出すのです。
科学で料理をする考えですが、これが実際にできたら料理の腕も簡単にステップアップできそうです。